一緒にサハラへ行く 先輩の知恵
ゴールで仲間と喜ぶランナー
12 · For supporters

サハラに送り出す、
日本で待つ人へ。

「無事に帰ってくるのか」「怪我をしないか」──送り出した側も、 ずっと不安と隣り合わせ。 でも、日本にいながらサハラを一緒に走る方法がある。 ライブトラッキング、メッセージサービス、SNS、動画──使えるツールを全部まとめた。

0 主な応援ツール
LIVE YouTube生中継あり
0% 完走率(安心材料)
0 死亡事故(近年)
まず、知っておいてほしいこと

MDSは、思っているほど危険ではない。

送り出す側にとって、「砂漠で250km」というフレーズは十分すぎるほどの不安材料。 でも実際のMDSは、世界で最も手厚く管理された砂漠レースと言われている。 各チェックポイントに医療スタッフが常駐し、ヘリコプター・4WD車両・ドクターが待機。 コース上は必ず先頭車と最後尾車(ラクダを含む)が走行し、「置き去り」は構造上ほぼ起こらない。

完走率はおおむね90%。途中リタイアした人も、自力でレースから外れるのではなく、 CPで申告してスタッフがビバークまで車で送り返す仕組み。 「リタイア=安全圏に戻る」という流れが整備されている。

それでも不安は消えない。だからこそ、日本から状況を追える手段を使い倒してほしい。 以下、使える応援ツールを5種類紹介する。

Tool 01 · Live tracking

ライブトラッキングで、今どこにいるか見る

MDS公式サイトには、レース期間中に毎日更新されるランナー個別ページがある。 ゼッケン番号か名前で検索すると、各ステージの通過タイム、順位、前日比の変動が見られる。

▶ Tip:ゼッケン番号を事前にメモしておく

ゼッケン番号は出発前の参加者本人しか分からない。送り出し前に必ず聞いておく。 名前のローマ字表記(大会エントリー時の綴り)も控えておくと検索が楽。

Tool 02 · Messages

メッセージサービスで、砂漠に言葉を届ける

MDSには、家族・友人から参加者にメッセージを送れる公式メッセージサービスがある。 大会公式サイトのフォームから送信すると、翌朝ビバークで紙に印刷して手渡しされる。 砂漠には携帯電波がないため、これが唯一「外の世界」からの情報伝達手段。

▶ メッセージの中身、こんなのが届くと嬉しい

過去参加者の声から集めた「嬉しかったメッセージ」の傾向: ・日常の小さな話題(子どものエピソード、犬の様子、天気) ・短い応援(「今日もいける」「テント仲間によろしく」) ・日本食の話(「帰ったらラーメン食べよう」) ・意外と効かないのは「頑張れ」だけのメッセージ。具体的な場面が欲しい。

Tool 03 · Social media & Live

公式SNS・YouTube LIVEで、毎日追いかける

MDSの運営は、レース期間中YouTubeで生配信(LIVE)を行い、 毎日InstagramとFacebookにもハイライト動画・写真をアップしている。 砂丘、スタート、ゴール、ビバークの夜──日本で待ちながら「今、あの地にいる」という実感を持てる。 参加者本人はレース中に見られないが、日本で待つ側は24時間追いかけられる

▶ 必見Tip:エイド通過時、LIVE配信カメラに映るかもしれない

各CP(エイドステーション)には公式スタッフのカメラが入っている年が多く、YouTube LIVEで通過するランナーを生中継する。 1500人以上のランナーが次々通るので、自分の応援しているランナーが映るかは運次第。 でも日本人ランナーは全体の1〜2%。アジア系の顔+日の丸ワッペンは、意外と目立つ。

だからこそ──出発前に本人に伝えておくのがおすすめ

「CPに着いたらカメラを探して、手を振って」「少しその場で水を飲んだり、ゆっくりしてから出発して」(映る時間が伸びる) ・「日の丸ワッペンや日本語のタスキを見えるところに」「テント番号〇〇番と書いた紙を掲げてもいい」

砂漠の真ん中で「日本で見ている家族に手を振る」── これができるだけで、送り出した側にも、送り出された側にも、忘れられない瞬間が生まれる。

▶ Tip:日本人ランナーの姿を探すコツ

YouTube LIVEとDaily Highlightsは、冒頭の集団スタートCP通過シーンビバークの夜ゴール直前を集中的に映す。 日本国旗のワッペンやタスキをつけている参加者を目印に、一時停止しながら探すと見つけやすい。 ライブ配信はスクリーンショットやチャットのタイムスタンプを残しておくと、後で家族と一緒に見返せる。

Tool 04 · Satellite

衛星通信で、家族と直接つながる

一部の参加者は、Garmin inReachなどの衛星通信デバイスを持ち込んでいる。 これは携帯電波が無い砂漠の中でも、衛星経由でテキストメッセージを送受信できる小型端末。 GPSトラッカー機能もあるため、家族側専用URLからランナーの現在地をほぼリアルタイムで見ることも可能。

▶ 注意:MDSルール上の制限

衛星通信デバイスは「GPSトラッキング機能のみ」は認められるが、双方向通信(メッセージ送受信)は制限される年がある。 最新のMDSルール(Règlement)は毎年更新されるので、出発前に公式資料を必ず確認すること。 SOSボタンは緊急時のみ使用可(誤って押すとヘリが飛ぶ)。

Tool 05 · After the race

帰国後の動画・ブログを、一緒に見る

レース期間中のリアルタイム情報だけがすべてではない。 帰国後、参加者本人や先輩ランナーが動画や記事で振り返りを発信する。 一緒に視聴することで「あの時、砂漠で何があったか」を追体験できる。 送り出した側も「自分の応援は無駄じゃなかった」と実感できる時間になる。

Before departure

出発前に、本人と握っておくこと

「何があっても連絡は取れる」「もしもの時はこうする」という段取りを、 出発前に決めておくと、送り出す側の不安が劇的に下がる。 チェックリストを置いておく。

  • ゼッケン番号の確認(大会側から事前通知がある。本人に聞いて必ずメモ)
  • 大会エントリー名のローマ字表記(ライブページ検索用)
  • 参加者の宿泊ホテル(出発前/帰国時のマラケッシュ&ワルザザード)
  • フライト情報(往復の便名・時刻・経由地)
  • 海外旅行保険の契約書コピーと、緊急連絡先
  • パスポート番号のコピー(本人は現地で紛失リスクあり)
  • 現地コーディネーター/日本人スタッフの連絡先(分かる範囲で)
  • MDS公式の問い合わせ窓口(info@marathondessables.com など)
  • Garmin inReachのMapShare URL(本人が設定していれば)
  • 帰国日の迎えをどうするか(羽田着19時前後、体力ゼロで帰ってくる想定で)
  • 「CPでカメラを探して手を振って」と本人に伝える(YouTube LIVEで映る可能性あり。日の丸ワッペンも用意しておくと見つけやすい)
Staying calm

不安との付き合い方

送り出してから帰国までの15日間、不安はゼロにはならない。 先に経験した家族たちから聞こえてくる、具体的な対処法を置いておく。

  • 「毎日SNSを1回だけ見る時間」を決める。 朝7時、あるいは寝る前。何度も見直すと逆に不安が膨らむ。
  • ライブページの「通過タイム更新」だけを指標にする。 更新があるということは「少なくともそこまでは動いている」証拠。
  • 参加者仲間の家族同士で連絡網を作る。 日本人参加者の家族はSNSグループを組むことが多い。情報が一気に集まる。
  • 1回リタイアしても、命に別状はない。 CP到達できていれば医療班が近い。過去、日本人参加者の重篤事故は極めて稀。
  • 帰ってきたら「お疲れ様」だけで十分。 達成できた人もリタイアした人も、自分の物差しで評価を終えている。 詮索より、温かい食事と、ゆっくりしたお風呂。
Welcome home

帰国当日・翌日の過ごし方

15日間の旅を終えた本人は、想像以上に疲弊して帰ってくる。 体重は3〜5kg落ち、足は水ぶくれだらけ、日焼けで顔は真っ黒、睡眠不足で目は落ちくぼむ。 でも目だけは妙にキラキラしている──これがサハラから帰ってきた人の典型的な状態。

その夜は、お祝いよりも静かに労をねぎらう時間のほうが喜ばれる。 話したい人は勝手に話し始める。話したくない人は、しばらく一人で静かにしたい。 本人のリズムに合わせるのが一番。

▶ 帰国後、喜ばれる3つの準備

白米と味噌汁と漬物の用意(モロッコ料理はもう十分) ・ゆっくり入れる湯船(シャワーだけの砂漠生活の反動) ・洗濯機を空けておく(砂で埋まったウェアが大量に出てくる)

帰ってきたら、「お疲れ様」。それだけで、応援してくれた人の存在は 砂漠で走っていた間、ずっと見えていた。
For you

送り出す人にも、一緒にやってほしいこと

サハラは走る人だけの挑戦ではない。送り出す人・待つ人・応援する人、 全員の2週間で成り立っている。 「挑戦させてくれてありがとう」──帰国後、本人が必ず口にする言葉だ。

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